今回は借地権について考えてみます。
借地権とは、建物の所有を目的とする土地の賃借権または地上権のことです。
賃借権は債権、地上権は物権という違いはありますが、ここでは割愛します。
借地権の対抗要件は、借地権の登記若しくは借地上の建物の登記(借地人名義)となります。
では借地権の価格を構成する要素とは何でしょうか?
簡単に説明すると下記のとおりです。
①法的利益
借地権者は借地権に基づき、他人(賃貸人の土地:底地)を長期間独占的に使用できる権利を法的に保護されています。
正当事由の具備や債務不履行等により、契約が解除されることがなければ土地に住居若しくは店舗等を建てて自らの生活や営業を行うことが法的に保護されることになります。
②経済的利益
借地権の対象となっている土地の経済価値に即応した適正な賃料と実際に支払われている賃料との間に差額があり、その差額が持続する期間に対応する経済的利益の内、取引の対象となっている部分です。
簡単にいえば、相場よりも安く土地を借りている場合でそれが長期間継続する場合には借地人は経済的利益を得ていることになります。
例を挙げると年額1,000万円が適正な地代である土地を500万円で借りている場合、借地人は1年間で500万円の経済的利益を得ることになります。
これが10年や20年続けばどれ程の経済的利益になるでしょうか。
(実際はもう少し細かい話になりますが、簡単にしています)
借地権の発生形態からも以下の例が考えられます。
A.創設的借地権価格
借地権が有償で設定又は移転した場合に、支払われた権利金又は譲渡価格が借地権の価格として認識されたことによる借地権価格
B.自然発生的借地権
地価の上昇に対して継続地代の上昇が遅れること(地代の改定がない若しくは地価上昇に見合うだけない)により、新規地代に対して継続地代が割安になったことで借地人に経済的利益が発生した場合の借地権価格(期間の経過に伴い借り得部分が発生したと考えても良いかもしれません)
C.AとBが混ざりあったもの
当初有償で設定又は移転された借地権が時間の経過に伴い借地人に経済的利益が発生した場合の借地権
一般的には高い地代を払っている程借地権価格も高くなると考えてしまうかもしれませんが、地代が相場より安い程借地権価格は高くなりますし、高い地代を払っている程借地権価格は低くなります。
言い換えれば、高い地代を貰っている程底地(貸宅地)の価格は高くなり、地代が安い程底地(貸宅地)の価格は低くなります。
底地(貸宅地)の経済価値は主に賃貸人の地代徴収権とそれに基づく経済的利益が中心となります。
そのため昔からの恩恵的な契約で低い地代、それこそ固定資産税を少し上回るだけの場合には賃貸人には殆ど経済的利益はないため土地の価格は低くなると同時に賃借人は経済的利益を大きく受けているため借地権の価格は高くなるという結果になります。
過去に継続地代の鑑定評価を受託させていただいた場合には、恩恵的な契約に基づき長期間低廉な地代で契約が継続しているため賃貸人からの地代改定の申出に基づく適正な地代の評価が多くありました。
また借地権や底地、借地権付建物の評価においても現行の地代と適正地代との間に乖離が見られる例がかなりありました。
このような場合、借地権価格や底地(貸宅地)価格は当事者のイメージするものや相続税評価額とは大きく異なることがあります。
加えて、借地契約が旧借地法に基づくものか、借地借家法に基づくものか等によっても大きな違いがあります。
借地権や底地(貸宅地)の時価や適正な継続地代の判定でお悩みの際は、是非弊社不動産鑑定士にご相談下さい。
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